塵一粒

同人誌やイラストの感想とか雑記とか。同人感想は作者さん向け。

【感想】多々良小傘の衣装部屋【seasoning】

多々良小傘の衣装部屋』

第8回秋季例大祭(2021年秋)発行。

 

www.pixiv.net

 

 saltさん(salt︎☔︎秋例大祭て09a(@saltty__)さん / Twitter)の東方Project本です。今回は小傘ちゃんのフルカラー衣装チェンジ本。季節やイベントに合わせた、様々な衣装を見せてくれます。

 因みに私は衣装チェンジイラスト集がめちゃくちゃ好きです。

 

 本編は右に衣装の詳細ページ、左に一枚絵という2ページ構成で進んでいきます。詳細ページ、衣装だけでなく小傘ちゃんの表情や仕草も変わるところが芸が細かい。

 そしてなんというか、見ていて可愛い楽しいだけではなく、服の名称についても勉強になりましたね。イラストの感想をたまに伝える時に、服を調べてもよくわからないことがあるので。長袖の袖先が膨らんでるアレ、バルーンスリーブっていうんだ……。アレ好き。

 

○Spring

 春、桜のピアスが差し色ですね。晴れた日の小川沿いの桜並木みたいな色合い。ウエストを白いリボンできゅっと絞っているのも刺さります。ピンク背景に水色も映える。

 シーツに横たわる小傘ちゃんが可愛いです。この仰向け構図めちゃくちゃ好き。柔らかさの伝わるフリルが良いですねぇ。

 

○Summer

 パンツスタイルな軽装、髪を結んで少女感が強いですね。ワイドパンツの裾に小傘ちゃんの意匠を入れるのがさりげなくて良き。サンダル……ではなくミュールね。ブレスレットは小傘ちゃんのスカート柄モチーフなんでしょうか。

 ぼんやり白んできた空の下で、向日葵を抱えて微笑む小傘ちゃん。手の描き方が上手い。涼やかで鮮やかすぎず、良い夏の表現だなと思いました。このアングルの睫毛……睫毛!

 

○Autumn

 アーミーベレー、後ろに垂れてるのが可愛い。肩や襟に装飾のないセーター、撫で肩なのが伝わってなんか好き。だぼっとした感じが可愛いですね。スニーカーもおしゃれ。ここと次のWinterのページ、衣装説明パートの小傘ちゃんが手をグーにしてますね。寒いのかもしれない。

 一冊の本を大事そうに抱える小傘ちゃん。読書の秋、というには少し違う雰囲気を感じますね。思い出に残る一冊なのでしょうか。そして本棚の本の向きが細かい。

 

○Winter

 うおお冬着小傘ちゃん! この服装特に好きですね……。学生ちっくな雰囲気もありつつ、ブーツなどのポイントも抑えてますね。ジャケットの袖から覗くニットセーターの袖が良すぎる。衣装説明パートの小傘ちゃん、ただでさえ目がまんまる大きくて可愛いのに、マフラーで顎の輪郭が隠れているせいか幼い雰囲気も増してて好き。

 冬の夜、手を温めている小傘ちゃん。空には満点の星、天体観測にでも来たのでしょうか。やや寂れた標識や背景の真っ暗な森? 稜線? も、街灯のなさそうな郊外というのがわかって星空の雰囲気作りに一役買っていますね。規制標識も何か仕込みがありそう……。

 

○Kimono

 大正ロマンなコーデがオシャレですねぇ! 袴にブーツ、かっこかわいい。袴の黒白グラデといい、えんじ色の着物とリボンといい、色遣いが素敵すぎる。あどけない表情をしている小傘ちゃん可愛いです。

 左側のページ、和紙に印刷したような演出になってるのめちゃくちゃ好き。そしてこの衣装、番傘が似合うから小傘ちゃんと相性が良い。古風な町並みをこんな子が歩いていたら絶対絵になりますね。

 

Lolita

 フリルもりもりロリータ服! ツーサイドアップとこの表情、やけに合いますね。スカートの柄がハートになっていたり、リボンやカフスもオッドアイに合わせた色だったり、遊び心が光りますね。

 ウインク小傘ちゃん、指ハートまで作ってキュートに全振りですね。髪型を変えているせいか、髪の光沢や色合いが今までとまた違って見えるのが面白い。

 

Halloween

 猫耳っぽいのがついたフード付マント、もうこれだけで可愛いです。ふかふかでボリュームありそうなワンピースも暖かそうだし、袖にある恒例の小傘ちゃんマークもツギハギ感があってハロウィンぽい雰囲気に貢献してますね。ハロウィン、余った袖がただの萌え袖じゃなくてオバケのポーズのニュアンスも含むからなんだかお得。そしてそんな防御力高そうな服装の首元からちらっと見える鎖骨がとても好き。

 悪戯好きそうな舌ペロ小傘ちゃん可愛い。こちらの絵では、フードの紐でセーラーワンピぽくも見えますね。

 

 

 ゲームのキャラクターって、ゲーム本編内や他の媒体での限られた資料でしか姿がわかりませんよね。「資料通りに描かないとこのキャラとわからない」「このキャラといえばこの服」となりがちかもしれませんが、そこに絵描きさんの解釈を加えた姿を見せてもらえるのがとても楽しいのです。原作資料あってのアレンジだとは思いますが、趣味や遊び心を入れてみるのも二次創作の醍醐味。「このキャラはこの季節はこういう服を着ているのだろうか」「このキャラが現代日本にいたらこういう服を着そうだ」と想像を巡らせて、それをイラストに出力して他の人に見せられるのはとても素敵なことだと思います。

 いろんな姿の小傘ちゃん、楽しませて頂きました。素敵な本をありがとうございます。