塵一粒

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【感想】青い薔薇の願い事 Blue rose complex.【火豆式】

『青い薔薇の願い事 Blue rose complex.』

コミックマーケット9(2018年夏)発行。

 ろりもやしさんのこいしちゃん本です。ギャグもシリアスも万遍なく書かれるろりもやしさんですが、今回はシリアス。

 表紙は水底に沈んでいくこいしちゃん。周りに浮かぶ気泡が、第三の目から零れる涙の粒に見えて意味深。

 

  まず語り部に騙されましたね。進行は「古明地こいし」という人物を本人が客観的に振り返っているだけで、さとり様はこの物語では何の役割も持っていなかったわけです。こいしちゃんのことを想ってはいるけれど、こいしちゃんの状態に何も介入できずに物語が進んでいくのが悲しい。

 

 他人との距離感でストレスを感じて壊れていく、というのは現代社会においてあまり他人事とは思えませんでした。

 心が読める「悟」。他人との距離感について、さとり様はもう達観しているのか、それとも心を穏やかに保つ良い術を身に着けているのか。いずれにせよこいしちゃんより長生きで、地霊殿の主でもあるさとり様は、自分の能力と折り合いをつけられているのでしょう。しかし、そこが未熟なこいしちゃんにとって、「(姉を安心させるために)友達が欲しい、他人と仲良くなりたい」というのは、一人ではハードルが高かったのかもしれません。

 心配をかけたくない相手がいるからこそ壊れてしまったのだと考えると、切なすぎますねこの姉妹……。

 
 また、今回特に表情の機微がとても好きです。こいしちゃんを心配するさとり様も良いのですが、こいしちゃんが目から光を失い、サードアイが涙を流しているコマの下のさとり様。ここの身構えるような表情がまた良い…! 水面にぼんやり漂うこいしちゃんも雰囲気出てますね!
 後、ハイライトのない目って良いですよね。

 

 続編(少なくともその構想)はありそうだなと思っていました。語りでは「こいし(私)が壊れていく失敗談」と言っていますが、作中ではあまり失敗だと感じているようではなかったので。実は今回の一件を後悔するような出来事があるのかな。

 心を閉じたこいしちゃんが今後どうなるのか、気になります。

 

 

 

 

 

 

 ……実はコミケに行く前に『あなたとすごした記念日は』の感想を書いてたのですが、新刊が良くて衝動的に削除&↑の感想を書くという暴挙に。なぜ消した。 

 

 初っ端からこいしちゃんが性欲の権化。かと思いきやラストがクリスマスで、ソフトにいちゃつくの好き。「おしくらまんじゅー」でこいしちゃんも照れてるのめっちゃ可愛いです。散々姫初めとか学生コスプレえっちとか言ってたのに。

 季節のイベントはいろいろありますが、そういったものに縁遠くなった今この本を読み返すと、大好きな人と過ごす一日一日がそれぞれ記念日なんだなぁなんて思ったりして。こいしちゃんはきっと、何かと口実をつけてルーミアちゃんといちゃいちゃする機会を狙っている。

 

 ギャグ本はギャグ本でとても好きなので(バブオギャとかも)、また読んでみたいです。